後継者
先日、ちょっとひっそりとしたニュースが流れた。
これを聞いて思ったことは
これから『六本木心中』はどこに行ってしまうのだろう
ということ。
公式的な発表ではないけれど、たぶんアンルイスが歌う『六本木心中』の生歌は二度と聴くことができない。きっとこれからカバーはなされていくのだろうけれども、アンルイスのノリや歌い方、そしてなにより彼女のこだわりを完全に知る者 -息子の美勇士いるけれども故人から直接教わったという女性- は誰も居ない。
70~90年代、様々なオリジナル曲が生まれた。その【記録】は、レコード・カセット・LD・CD・DVD・VTRと音声も映像もびっくりするくらい残っていると思う。しかし、その【記憶】はもっとびっくりするくらい継承されていない。
今どき、どこかで誰かがblogにupしてたりするんじゃないかと思いきや、けっこう有名なバンドであってもblogやWikipediaに落ちてないなんてことはザラである。
そんな内の大きな一人がアンルイスだったと思うのです。
今どきの芸事はよろず「弟子」という概念が無い。
例えば、母親から娘に伝えてられてきた家庭料理でも、今どきは一般にもっと美味しい味付けを好んだ娘がレシピサイトを探して より早く より美味しく 作る方法を得て自分のものにしていたりする。つまり、この瞬間に「母親の味」が死んでいっているわけである。
同様に、弟子をとらない芸の世界の人たちと誰かに指示しないアーティストがそれぞれ自律的に存在する社会の中で、「文化・芸術の継承」が意外と難しい時代に有るのではないか。
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言いたい事は別にある。
つんく♂は今後もひとりで今の仕事をまかなっていくのだろうか
ということが気になった。
今までで以上に楽曲の新陳代謝を上げているように見受けられる近年、そしてハロプロ内の各ユニットが押し並べて好調な正に今、マネジメントの観点で考えると とても大事な新曲リリースを彼ひとりの産みの力に委ねるってちょっと怖くはないか。
まあ正直、ハローのファンであると同時につんく♂楽曲のファンと化しているわたしたちにとっては、分担制で曲がリリースされるくらいなら彼と心中したほうが良いという過激な思いはある。しかし気になるのは、他のバラエティ仕事もつんく♂自身でまかなうシーンを多く見かけることだ。
例えば、些細な話ではあるが、FC向けDVDの「つん倶楽部」なんぞ、彼と同じ目線で回せる誰かに任せられる状況を作ってみてはどうか。
DVDマガジンなんぞで大袈裟な……と思われるかもしれないが、つんく♂の十八番である「女の子の気持ち」を瞬時につかめる感性を、こういう些細な場から育成して、追い追いアップフロント内の継続につなげてみてはどうかと思うのである。
モーニング娘。に関しては つんく♂の分身でもあるので専属で良いと思う。
しかし、中学生以下のメンバーで構成される研修生出身ユニットに今の時代にマッチした感性のプロデュースを施す上で、新しい発想を持った【弟子】に委ねるような体制をとってみても良いのではないだろうか。