鈴木香音の「人生が変わった瞬間=ぽっちゃりキャラ解禁」を考えてみる
スゴいものを見た気持ちです。
私の人生が変わった瞬間
2014年・1月…。
ポッチャリキャラを解禁した時!!です ( ´ ▽ ` )ノ
鈴木香音
香音さーん!!! pic.twitter.com/kAjxZ9FE2F
— ハコ (@MusumeHakooshi) 2014, 10月 9
人生の転機=2014年1月「ポッチャリキャラ解禁」
すなわち、この瞬間ですね。
/『新春豪華どっきり祭り!3時間SP!』(2014.01.02放送)
その後の彼女の事を少し振り返って、この言葉の意味を掘り下げてみます。
ぽっちゃり解禁 振り返り
『どっきり』での切り返しには後日談があって、吉田豪さんのインタビューにこんな風に答えてます。
テレビでも最近は確実に腹を括って体型イジリ的なデリケートな話にも乗ってみせたじゃないですか。ああやって自分で一歩踏み出す瞬間が好きなんですよ。 「フフフフ。いままで周りが触れちゃいけないみたいな感じだったのが自分的にすごい嫌で、申し訳なくて(笑)。でも自分ではどうやったらいいかわからないからって思ってたんですけど・・・・・・」。 最初にいじったのは「めちゃ2イケてるッ!」でのナインティナイン・岡村隆史さんでしたよね? 「最初は岡村さんですね。でも、そのとき全然考えてなかったから、イジリに対しての返し方とかまったくできなくて、ちょっと微妙な感じになっちゃったんですけど。だから、お正月に『どっきり』の番組に出演させていただいたときはちょっと考えてたんですよ。もしイジられたらどうしようって。そしたら見事に来たから、ここだと思って」。 完璧な返しで感動しました! 「ありがとうございます。自分でも、よくあそこまで頭が動いたな思いました(笑)。自分的にはスッキリしてます」。
/『B.L.T.』2014年4月号 吉田豪トーク連載「ぶらり豪」第41回 |
きっかけはコレだったんですよね。
岡村「あなた、なかなかガタイでかいねえ。」
岡村「なかなかの娘さんやね」
鈴木「……ちょっとお腹でっぱっちゃって。。」
/『めちゃイケ』(2013.12.07放送)
『めちゃイケ』で急なフリにおずおずと取りつくろうことしかできなかった彼女。ここで、テレビ出演が増えたら今後もおそらく来るだろうと察したわけです。『どっきり』を見た時に明らかに切り返しのキレが違ったので、これはと思い、何故ここまで見事に返すことが出来たかを「テレ娘。」に書いてたんですが、個人的にこのインタビューを読んだ時には答え合わせをしたような気持ちになりました。
おそらくイジられたらどう返すかという準備は出来ていたのだろうと思います。取り巻く状況は当の本人が一番よく分かっています。来るべき時が来たから用意した答えを返した、といったところかなあとお見受けしました。たぶん一番驚いたのはメンバーで、二番目に驚いたのがファンで、あとの人にはきっと自然な会話に聞こえたはずです。
ここで彼女は大きなものをつかんだんだと思うんですよね。
アドリブ苦手の克服
以前からきちんと台本を組んだコントが好きだと公言する彼女。
さんま「君はドリフのファンやから、どういうコントやりたいねん」
鈴木「あー、自分でやるとなったらドリフとはかけ離れると思うんですけど」
(略)
さんま「ドリフには行きなくないのか?」
鈴木「あのー、ちゃんと台本通りにやりたい人なんですよ。」
さんま「だからドリフやないか。」
鈴木「そうですそうです。あの、ちゃんとあのドリフの皆さんって台本通りにやりたいってのが、あの、あったじゃないですか、いかりやさんの。私、それとたぶん考え方が同じで台本通りにやりたいんですけど、母ちゃんコントをやりたいとかそういうのは無いですね。」
さんま「あぁ」
鈴木「自分の考えたやつを、ちゃんと台本通りやりたいっていう。」
さんま「まあまあ だから(スタイルは)ドリフですよね。色んなコントやりたいんでしょ?」
鈴木「やりたいですね。」
さんま「オーソドックスなコントをやりたいんだ」
鈴木「はい!」
/『ヤングタウン土曜日』(2014.04.12放送)
大胆にもヤンタン初登場でさんまさんの前でドリフについて熱く語っていますが、実は、コントが好きだとうったえているその裏には、自身がアドリブの利かないタイプであるからこそという意味合いも含まれているわけですよね。
ちなみに、番組のエンディングでさんまさんからこんなアドバイスをいただいていました。
--「癒せません」のコーナーが恥ずかしかったという感想を受けて。
さんま「これからたぶんアップフロントは、お前をバラエティ分野に持ってこうとしてんにゃろうから、また(機会が)来るから、またあのコーナーやらなあかんで、お前。」
鈴木「その時までにはホントにもっと色っぽいことを言えるようにしときます(笑)。」
さんま「だからコントと思えばええねん。」
鈴木「コント!?だったら全然大丈夫です。」
『めちゃユル』で、お父さんこと加藤浩次さんに対して反抗的だったり立ち向かったりする姿は、正にコントの中の役になり切っていましたが、最近顕著なのはインタビューでの受け答えです。
アドリブが苦手な彼女の最近のインタビューの様子を見ていると、食いしん坊キャラのジョークで返すように徹底している様子が見受けられます。これってちょっとした「コント」だと思うんですよね。即興の「一人コント」であり、ある意味自分を客観視している。
食いしん坊を思わせる受け答えはキャラクター作りという側面もあるんですが、同時に、インタビューの回答に困らないようにする、あるいはインタビューでつまらない回答に収まらない、他の子とかぶらないなど、幾つかの利点が含まれています。
司会「好きなフレーズは何ですか?」
鈴木「butter」
/『2.5D presents Morning Musume。'14 ROAD TO NY LIVE TALK SESSION with MTV81』(2014.08.08生配信)
そのキャラでいいのかという周りの声はありますし、その答えがジョークとして面白いかどうかという議論もありますが、内容はさておき、ニュースで取り上げられる頻度を見るとインタビュー中の彼女の存在感が増したことは明らかです。
それをこの数ヶ月徹底してきた様子を見ていたら、この手法、道重さゆみのバラエティデビューと重なるなあと思えてきました。
道重さゆみのバラエティ対応
彼女もまた、当時の矢口やミキティのように即座に面白い受け答えをすることが出来ないタイプであり、客観的に空気を見ることに長けていた彼女は、テレビ番組出演時に自身と見比べてみて、その事実を踏まえていたと思うんです。
だから、本格的にバラエティに一人で出演し始めるにあたり、何か言われたら予め用意した毒舌ワードの引き出しから1個出すというルールを徹底するようにしてきました。彼女のテレビ出演が増えたのは、その毒が面白いという理由以上に、シンプルに返す徹底具合によるものだったように思います。
というのも、テレビの作り手は計算できるタレントのほうが絶対助かるんですよね。回す人と返す人と横槍を入れる人とのチームプレーが大切なひな壇文化の現場は、言ってみればスモールベースボールと一緒で、必ずバントを決められる2番バッターのように「こう訊かれたら、きっとこう返してくれる」という期待に応える打率の高い人が重用されるのです。
そうして、野球の例えで言うところのバントだけしかさせてもらえない(=毒舌のフリしかもらえない)立場だった彼女は、そのやり方に徹することで時に自分が思ったことや言いたいことを言えない場面も出てきたわけですが、そこは自分のキャラクターを決めたのだからという覚悟を持って取り組み、そこを堪え続け、結果、道重さんのテレビ出演がしばらく続いた要因となったのでした。
そう考えると、鈴木香音のこの先も何らか見えてくるところがあるんじゃないかなあと思うんですよね。
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バラエティデビューを果たした頃の道重さんと同様、15歳の少女が「ぽっちゃり」のキャラクターに飛び込むのは相当の覚悟が必要だったとは思うんですが、そこに徹することで自信を持った受け答えが出来るようになってきました。また、そうすることで落ち着くこともできるので笑顔も周りを見ることもでき、テレビ出演や取材だけでなくライブ中など様々な場面において相乗効果を生んでいます。
一つの決め事から何かを変えたら、それをきっかけに色んな事が変わってきた。だからこそ、正にぽっちゃりキャラの解禁は「人生を変える出来事」であっただろうと十二分にうなづける言葉なのですよね。